我が家の子供2人は自閉症です。
今回は自閉症児に有効な療育であるABAについて説明します。
ABA(エービーエー)とは
Applied Behavior Analysisの略で、日本語だと応用行動分析、行動療法と言います。
心理学は目に見えない心理の学問ですが、ABAは目に見える行動に着目しよう、行動を変えようというものです。
ABA自体は特に自閉症に限らず、社会人の教育にも使われたりするそうです。
ABAの基本的な考え
ABAの基本的な考えは
行動Aをする → いい事(ご褒美)がある → 行動Aをする事が増える(強化)
行動Bをする → 悪い事(罰)がある/何も変わらない → 行動Bをする事が減る(弱化/消去)
というものです。
これって誰にでも当てはまる事ですよね。
普段やらない事をやってみたら楽しかったという経験があれば、その行動は増えますし、
ちょっとやってみたら痛い目にあったら、そういう行動は慎もうかなってなります。
自閉症児へのABA早期療育
ロバース博士が1987年に発表した論文によると、ロバース博士らは2-3歳の自閉症幼児19人に対して、ABAに基づく平均週40時間の1対1の療育を、2年以上にわたって施しました。その結果、19人中9人(47%)が知的に正常になりました。
これは打つ手が無かった自閉症対策としては、非常に画期的な事で、また現代に至ってもこれを明らかに超える対策は出てきていないようです。
ロバース博士が行ったABAをDTT(Discrete Trial Teaching)といい、自閉症児を机に座らせ、短い間を挟んで課題を繰り返し、課題に成功すれば強化(褒めたり、ご褒美を与える)するというスタイルです。
DTTは物事を学ばせるには良い反面、般化(日常生活への応用)が難しいといった弱点があります。
また週40時間って、すごい時間ですよね。普通に会社員の勤務時間並みです。
ロバース博士の弟子のケーゲルは、DTTは時間がかかり過ぎるといって、PRT(Pivotal Response Treatments)というABAを開発しました。
日常生活において基軸(自閉症児が興味がある玩具等)を使って効果的に介入する事で、もっと効率よく自閉症児を改善しようというものです。
難点は具体的に何をすれば良いのかという情報が少ない事。あとDTTほどは効果が分かりやすくない事のようです。
DTTとPRTで、どちらが優れているのかという議論になりがちですが、
親としてはそんな事はどうでも良くて、子供に効果があれば良いですよね。
補足ですが、近年のABAでは罰は軽いものしかしません。特に体罰は無しです。
ABAで伸びる子、伸びない子
4才くらいまでの若い子の方が伸びやすいようです。
物事に欲求が強い子の方が、強化子(ご褒美)に困らず、やりやすい傾向はあるようですが、
最終的にはやってみないと分からないようです。
ABAのメリット・デメリット
ABAをする以前、我が家の娘はほぼ無発語、食べ物以外興味なし、親を認識しているのかすら怪しいという状況でしたが、ABAにより数百の物の名前を覚え、五十音の大半を発生できるようになり、父ちゃん母ちゃんを区別できるようになりました。
簡単な親の話を理解できるようになりましたし、娘からの要求も少し出るようになりました。
素晴らしいメリットだと思います。
逆にデメリットも知っておくべきですね。
まず非常に時間がかかります。我が家は毎日2時間程度ですが、1個の課題をマスターするのに、数週間~数か月かかるケースもあります。
またABAですが、実際にやっているところを見ると、動物の調教のようです。
また特に最初は課題を拒否して大泣きしたりする事がありますが、そういう場面で30分でも1時間でも無視したりします。(消去)
これって、世間一般の考えからしたら、子供が可哀そうって思いますよね。
そして子供のギャン泣きに堪える親もキツイです。
修行系なんて揶揄される事があるのも一理あります。
でも課題をクリアすれば、好きなご褒美がもらえる事が分かれば、課題に前向きになります。
また自ら学べない自閉症児にとっては数少ない有用な教育方法ですし、
それで子供の世界が広がるのであれば、やらないのはもったいないと思います。
本当にやって良かったと思うのは、ようやく娘とまともに関われるようになった事。
無表情だった娘が笑うようになった事ですね。
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